interview #03

天然物×AI技術で
漢方薬の新時代を創造する

研究開発部 研究課 /
2015年入社

Q1-Job description

仕事内容

『分解』と『再構成』で天然物の可能性を追究する

研究課では、主に漢方薬をはじめとする天然物由来抽出物(エキス)に関する研究に取り組んでいます。その中でも特に重点的に取り組んでいるのは、天然物エキスの特性の「分解」と「再構成」になりますね。原料となる植物によって天然物エキスの物性・性質は千差万別ですが、それはエキス内に含まれる多種多様な成分の特性が複雑に絡まり合うことでエキスごとの個性が生まれているからです。この個性を科学的に理解して天然物の産業利用に応用するために、天然物エキスの構成成分を様々な要素に「分解」し、それぞれの成分の特性が天然物エキスのどのような物性・性質につながっているのかを科学的に理屈が合うような形で「再構成」するというような研究をおこなっています。
そうきくと華やかそうな印象を受けるかもしれませんが実際にやっている業務は大変地味で、仮説を立ててサンプルを作ってデータ取り、得られた科学データを踏まえてよりレベルの高い仮説に当てはめていくというその積み重ねになります。もちろん、ただデータを黙々と取得していくだけではダメで、得られた研究成果を製品開発や品質管理に応用できるような形で還元することで、会社の技術の底上げをおこなうことも私たちの大事な役割の1つです。今やっている研究をいかにして他社との競争に勝てるような「価値」につなげるか、それを常日頃から頭に入れて仕事に取り組むようにしています。

Q2-Job difficulties

仕事の難しさ

難しいからこそチャンスがあるし、価値が生まれる

一般的に天然物を取り扱う研究は難しいといわれますが、実際に取り組んでみるとそういわれる理由がよく分かります。常に複数の成分の影響を考慮しないといけないんですよね。仮説1つ立てるにしても簡単ではないですし、実験データからエキス特性の原理を読み解いていくのも複雑で難しい。構成要素の分解も意味のある形に分解しなければいけないので、ただ闇雲にデータをとったらいいというものではありません。
その他にも、一般に同じものとされているものが、実は違うものだったというケースもあったりします。そんな天然物エキスの研究には、尖った専門性ではなく総合力が求められると考えています。自然界に普遍的に存在する物質に対する幅広い知識と、その知識を自在に引き出して切り分けたり組み合わせたりする能力、この2つが特に重要ですね。可能な限りたくさんの武器を持ってそれを的確に利用していく、そんなイメージです。
私たちの取り組みには確かに難しいところがたくさんありますが、それは同時に、それだけのチャンスが広がっているということを意味しています。そしてその先には当社でしか実現できない価値が必ずあります。幸いなことに当社には長年天然物と向き合うことで培ってきた技術と経験という土台があるので、先人たちの知恵を存分に活用しながら新しい価値を生み出していきたいと思います。

Schedule

1日のスケジュール

  • 7:50
    出社、研究開発部朝礼
  • 8:15
    部下の今日の業務内容の確認、打ち合わせ
  • 8:45
    メールチェック
  • 9:00
    取得データの解析と次の実験計画の検討
  • 12:00
    昼休憩
  • 13:00
    研究用サンプルの調製、性状調査
  • 16:00
    他部署に向けて研究成果の発表
  • 17:00
    部下の今日の実験結果の確認、打ち合わせ
  • 17:30
    日報作成
  • 17:45
    退社
Q3-Desired personnel

求める人材

発想は自由に、目的は明確に。正解を見つけるのは自分自身。

私がめざす研究課の課風は「自由闊達」です。どんどんアイデアを出すことが一番大事だと考えているので、思っていることをどんどん会話の中で発信してほしいですね。たわいない会話の中に、研究のヒントが隠れている可能性もありますから。立場や役職に関係なくお互いアイデアを出し合ってディスカッションできるような、そんな環境をめざしていきたいと思います。
研究課で求める人財は、「良い意味でこだわらず、目的を明確にして仕事に取り組める人」です。テクニックやスキルはあるに越したことはないですが、それに縛られて視野が狭まってしまうと天然物エキスの複雑さに対応できません。たとえば「液クロで分析する」という行為は1つの手段でしかないのですが、液クロを使うことに拘ってしまうと液クロを使用すること自体が目的となってしまいます。そうではなく「どういうことが実現したいのか」「そのためには何が必要なのか」と目的意識をしっかり持って多様な手段を選択できることが大切だと思っています。それを考えると、実験操作が好きな人よりも実業家的な視点や発想を持てる人のほうが当社の研究課には向いているかもしれませんね。
この記事を読んでいる皆さんは就職活動の真っ最中だと思います。どれだけ悩んでもわからない選択肢に対して、それでも考えて選択しないといけない状況は苦しいですが、自分で決めたという実感や手応えは次のステップに進んでいくためのチカラに必ずなります。自分の心を信じて頑張ってくださいね。

Q4-Future goals

今後の目標

漢方の価値を高めるために私たちが描くビジョン

天然物エキスの構成要素を一度分解し、改めて理論立てて再構成するという取り組みにおいて、「分解」のプロセスは人間が実験でデータを集めていけばよいのですが、「再構成」のプロセスは人間のチカラで進めるのには限界があります。そこで、AI技術を活用することで要素の再構成を進めていきたいと考えています。最終的には研究成果を応用し、「処方設計の仮想シミュレーション技術」や「品質の事前予測システム」の確立をめざしていきたいですね。それによって無駄なトライ&エラーがなくなればその分だけ時間に余裕ができ、新しいことにもすぐにチャレンジできるようになります。当然労働時間も短くなって働きやすい環境作りにも貢献できて一石二鳥ですね。AI解析は学習データの質が非常に重要となるため、ウェットの実験での段階からAI解析を見越してのデータ取得にコツコツと取り組んでいます。また、どのようなデータを学習させるかを判断するのは人間の仕事になるため、私たち自身のスキルもさらにアップデートしていきたいと考えています。
さらにその先のビジョンとして、新たな研究領域である「生薬の自社栽培」や「食品・化粧品分野への天然物素材の応用」を掛け合わせることで、大峰堂の土台である漢方薬の価値を相乗的に高めていきたいと思っています。研究領域に「漢方薬」「栽培」「天然物素材」という3本の柱を建て、それらを一体にして発展させていくイメージですね。すべてを実現できるかどうかは分かりませんが、実現に向けて挑戦していきます。

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